遊戯王GXが僕らに教えてくれたこと【２】
書かないのもアレだから書くぜ。うろ覚えでな！*1
敗北を経た十代が自己啓発セミナーで新たなデッキを獲得、そんな十代を、敵対する新興宗教が洗脳戦略によって迎え撃つ、それが２期ＧＸ。しかし本当の見所は、それとは全く関係ないヘルカイザー亮の奇行だったりするのも２期ＧＸの特徴です。なお、わたくし的MVPはエドVSDD(復讐完了)。やはり主人公は全く関係ありません。まぁ、この世はそんなもんです。
限界を迎えた【Ｅ・ＨＥＲＯ】に代わって登場したのがより虚弱な【ネオスペーシアン】でした。普通に考えればこれはクレイジーです。弱いデッキからより弱いデッキに移るのは狂気の沙汰。しかし、【ネオスペーシアン】には様々な利点が、今思えば存在したのです。それは、スタッフによる涙ぐましい努力の結晶体。
１：主力となるのが攻撃力2500のネオス
２：コンタクト融合≒装備魔法
３：回復、バウンス等役割の徹底されたＮ
４：コンタクト融合はどれもパワーが2500以上
コンタクト融合において重要なことは、ベースとなるネオスの攻撃力2500を下回る、コンタクト融合体が存在しないということです。実の所、攻撃力2500を基点に、シルバーバレットの思想によって決闘をまわすのがスタッフの狙い。場にネオスを常駐させておけば、次のドローでは６つの可能性を即使えるというわけです。最も胡散臭い、帳尻合わせのエアーネオスを筆頭に、パワーアップのフレアネオス、バウンスのグラン・ネオス、直接攻撃のグローネオス、効果封じのブラック・ネオス……これだけいれば毎週のオチとしては十分というものでしょう。*2どれか１つは状況に即したフィニッシャーになる筈です。最低でも攻撃力が2500。ライフ4000制ならどうとでも。ドロー操作なる作り手の権限を生かした、胡散臭い布陣ですが違反ではありません。融合体になる前のNもまた、役割が徹底されている為序盤の延命策としては十分機能します。鳥の回復やモグラのバウンス、犬のコピーは幾度となく十代のピンチ(笑)を救いました。カードガンナーで墓地を肥やし、ダメージと引き換えにドローを行い、鳥でそのダメージすら回復、完璧なマッチポンプです。こうして、力押し一辺倒なデュエルから脱却した、新たな、非常に胡散臭いネオスペーシアンデュエルが確立していったのです。必要なのは力ではないのです。必要な受け要素を事前に仕込んでおくことこそが重要だったのです。それが、２期GXなのです。みなさん思われたことでしょう。「そんなことするぐらいなら最初から強いのでいけよ」と。しかし十代は、敵に見せ場を提供する自愛に溢れた紳士です。そのようなことできるはずがありません。
紳士なのは十代だけではありませんでした。二期のボス・斎王琢磨もまた超一級の紳士であったことが発覚します。それまでは並外れた運命力によりチートまがいのことをしていた斎王。しかし、十代戦において彼の紳士性が発揮されます。アニメ版の《アルカナフォースＥＸ−ＴＨＥ ＬＩＧＨＴ ＲＵＬＥＲ》には、「正位置効果で回収したカードはそのターン使えない」「逆位置効果を使用するたび相手側１枚ドロー」という制約がついていたのです。これは勿論、十代得意のチートドローをアルカナチートで相殺するぐらいの力を持つ斎王が、弱小の【ネオスペーシアン】を一網打尽にしてしまわないよう、己に架した十字架です。まさに紳士そのもの！ この戦いは我々に強烈な感動を呼び込みました。我々は思います。「何故こいつらはチートをやりつつ手加減合戦をやっているんだ？」と。仕方がないのです。攻撃力４０００もあれば、人は十分死ぬのですから。長々とボス戦をやらねば、色々とアレがアレしてアレなのです。
閑話休題。もっとも注目が集まったのはヘルカイザーの裏巡業でしょう。彼の奇行の数々は我々の腹筋を確実に刺激しました。いきなりサイバー流が出てきたかと思えばその数秒後には裏サイバー流、カードを投げ捨てるパワーウォール、そして電撃デスマッチ……
主人公ルートで脇役が光らない以上、別ルートで魅せるというのは非常にいいアイディアだったと思います。３期においては、このルートにエド＝フェニックスも合流。やりたい放題勝手に活躍します。それはそれは清々しい程に。逆に、主人公依存症から抜けられなかった人々は、新興宗教に入りつつも、ろくな活躍もできぬまま少しづつフェードアウトの様相を見せていきます。毎回３歩進んでは３〜４歩下る翔、たなぼた式にジェネックスで優勝してしまった万丈目、《青氷の白夜龍》を借りパクできなかった明日香、裸で走っただけの三沢など、彼らは日の当たる道の隅っこを歩いていくことになります。そういえば先程、最終回一歩手前で彼らが表彰(卒業決闘同率１位)されていましたが、実に彼ららしい、都合のいい扱いだったと思います。
