爆走兄弟レッツ&ゴーMAXというか大神一族

↑でもこれは買わないほうがいい。地雷だから

ビデオ屋で借りてみてる。ざっくばらんな言い方をすると大神マリナとフェニックススティンガーに悶え狂ってます。終盤の大神博士との和解がMAX最大の見せ場であることは最早疑いないでしょう。無印のやり残しをここで補完するとは。そして色々ある中敢えてそれを補完するとは……!。そもそもマリナ以前の大神系レーサーは大神博士の事を踏み台ぐらいにしか考えておらず、大神博士も大神博士で自家製マシン史上主義に基づきレーサーを減点方式でしか意識しなかった。しかも大神博士はあの性格ですから、子供達から愛されるわけもなく、大神系レーサーが大神マシンの不自由さ及びそれを扱う自分自身の不自由さに気がついたときは、例外なく喧嘩別れになっていた。大神博士の下で新たな関係を築いたり新たな可能性を開拓したりした者はいなかったわけです。なぜなら、そこまでして大神博士と一緒にいる義理など子供達側には1ミリもないのが自然当然。誰が好き好んで顔にスカウタ―をはめた意固地なおっさんの下で肩身の狭い思いをしてまでミニ四駆を走らせたいか、というお話です。利用価値がなくなれば、或いは別の宿をみつければポイですよ。

そしてそれゆえ大神博士には「自分の設計したマシンがレーサーの資質・技量により120%の力を引き出される」経験がそれまで一度としてなかった。マリナ以前の大神系レーサー達は、鉄心先生が言うところの、大神博士を乗り越えていったというよりは、むしろ乗り捨てていったという方が実態に合っている。ZMCニードルを引き抜いた土方レイはそれまでマシン調整などやったことがなかったためマシンバランスを崩しリタイア。ブロッケンファングを外した近藤ゲンのそれは一過性のまぐれに過ぎず、既に半分くらいは愛想を尽かしていた沖田カイと共に技術持ち逃げ。ビークスパイダーゼブラなどは、大神博士のマシンをどうこうというよりは大神研究所の技術を転用した、「制作者沖田カイ」のマシンに過ぎません。この差は、大神博士の視点からは思いのほか大きい。当の大神博士にしれみれば、大神軍団とは途中で乱心して勝てる勝負を落とした馬鹿と技術を持ち逃げした裏切り者以外の何者でもなかったのです。だからこそ大神博士は初代レッツ&ゴー兄弟に敗れた後も一向にバトルマシンの開発をやめなかった。より正確にいうと、レッツ&ゴーにおける大神製バトルマシンとは「レーサーにしてみればブラックボックスが多過ぎて自己調整・自己進化の余地のないマシン」。しかし自家製マシン史上主義にとりつかれた大神博士は遂に娘を放りだしボルゾイの鳥籠でマシンをつくりつづけたのです。自分がなぜレッツ&ゴー兄弟に敗れたのかその理由もわからぬまま。しかしそんな大神博士を泥沼*1から救える人間が地球上にたった1人だけ存在しました。それこそが大神博士を心の底から愛してやまない史上唯一の変態レーサー・大神マリナだったのです。

大神マリナにはいくつかの特殊な条件が備わっていました。特に一番目はレッツ&ゴー業界最大の謎。

  1. パパこと大神博士のことを心の底から愛している
  2. レーサー人生の大半を大神博士のいないところで過ごした
  3. 流石の大神博士も愛娘のことは結構気になる御様子(おまけ)

これらの要素が合わさって初めて大神博士に「レーサーの力」を証明することができたのです。仮に大神博士を愛していなければ大神マシンの不自由性に気がついた時点で愛想を尽かして出ていくでしょう。陣営を変えた時点であの堅物には最早何も聞こえません。また、ずっと大神博士の下でやっているといざ反抗したとしてもレーサーとしての成熟度が低過ぎて土方レイのようになります。*2元々が自由度低過ぎなマシンですから、よっぽどの技量をもっていなければ自滅ルートです。しかしマリナはたった1人で、パパからもらったファイヤースティンガーを限界まで活用することを余儀なくされていたため、レーサーとしての自覚・技量が大神系レーサーとしては異例のレベルであがっていたのです。だからこそマリナは大神博士に反抗した際も、パパからもらったフェニックススティンガーそれ自体は否定せぬまま、その与えられた性能以上の力を発揮できたのです。だからこそ大神博士は最終話で「おまえたちレーサーはすごいな」と遂にデレたのです。ここに、大神博士は色々なものとの和解を遂げ、長いトンネルを抜けることができたのです。ここでもし仮に大神マリナがパパのこと大好きでなければ、あの怪しいにも程があるスカウタ―・ファザーを一途に愛するという奇行に走っていなければ、この結果はなかったでしょう。成長したファザコンがパパと自分の未来を救ったのです。いい話だ。しかしそれはそれとして大神マリナは悶絶するほどかわいいです。それと原理不明のフレイムバードが格好良過ぎます。なんですかあの気合い入ったバンクは。

余談:大神マリナの設定はどこからつっこんでいいのやらというぐらいに滅茶苦茶なのだが「大神博士の娘」という属性を一個放り込むだけで全部が全部すんなり納得できてしまうのがすごいと思った。大神博士の娘か、じゃあ仕方ないな、とすんなり思える。これが奇行でならした大神ブランドというものなのか。流石といえば流石だ。

*1:いつもいつもあと一歩のところで不協和音

*2:当時の大神軍団は、マシン及びキャラのカリスマに反比例するかのように実は技量が低かった。正確には応用能力が限りなくゼロに近かった。