アナザーセンチュリーズエピソード

Another Century's Episode

Another Century's Episode

4年ぶりに家庭用ゲームを遊ぶなり。ゾイドバーサスクラスの高度なシナリオの下、脳内妄想をフルスロットルして遊ぶなり。ゼータや百式であの世界観を戦い抜くのは私のイメージ力を超えているのでW勢で縛る也。他の作品はよく知らない也。中古販売価格980円だった也。4年ぶりの家庭用ゲームは下手糞だった也。また当分はやらない也。

ウイングガンダム

なんだかんだいってメイン。「バードモードで距離をつめ、バスターライフルをぶっぱなし、残った敵を切り刻み、バードモードで即逃げる」という原作さながらの、テロリズム溢れる闘い方が可能。というよりはそれ以外に運用法が存在しない。3発しかないバスターライフルを開幕直後から温存せず打ちまくるヒイロ少年の運用法はやはり正しかった。混戦になるとバスターライフルがカットされるカットされる。隙が大きすぎるのよあの武器は。ヒイロ少年が超高速型のトールギスと戦うに際し、バスターライフルがあと一発残っているにも関わらず迷わず捨てた理由が今ならわかる。あれは別に、ゼクスの似非騎士道精神に感化されたわけではなかった。ウイングガンダムのメイン武装は元々タイマンを想定していなかった、というのが単純な真実。改めてゲームで動かしてみると、つくづくW系はナタク以外タイマンのことを全く考えていないことがわかります。と、こう書くとナタク以外が異常に見えますが実際にはナタクが最も異常。圧倒的多数のOZを相手にするのに、タイマン重視のMSを開発する中華コロニーはある意味一番気が狂っていると思わずにはいられません。


ここからは壮絶に余談なんですが、W勢の特徴として「機体に戦術思想が存在する」というのがあります。このウイングガンダムなんかが正にその典型例。「テロリスト」による「破壊工作」系ミッションにおいてこの機体は実に傑作。飛行形態が「奇襲」を行う上でベターなのは言うまでもありませんし、3発しか撃てないバスターライフルも「たった3発の使用で全ての火力を破壊に変換できる」と考えれば効率良いことこの上無し。ここまでくると人型への変形が蛇足に思われるかもしれませんが、撃ち落とされた時のリカバリーを含め様々な状況に対応できるという意味では有意義な使い分けと言えるでしょう。元々が基本性能においてリーオーやエアリーズを遙かに上回っていることが前提*1。バスターライフルを食らって右往左往している残りの10機や20機をばっさばっさと切り刻んでから帰った方が、テロリストとしてはより建設的と言えます。更に加えて、飛行形態への変形が「撤退」に適していることはもはや言うまでもないでしょう。「即時特攻」→「即時撤退」のデスサイズ、サンドロック、「正面衝突」→「正面消滅」のヘビーアームズ、と、ハッタリ重視のようで意外と運用のことを考慮している、或いは、運用で魅せることを前提としているのがわたくしめには熱く映るのです。単に、猛者による奇襲と撤退が好きなだけかもしれませんが。

ガンダムデスサイズ

ある意味傑作。プロフェッサーGが自爆を嫌った理由がよくわかる程度には傑作。ハイパージャマーを散布しつつ高速で近づき横っ腹からぶった切るのは、雑魚戦においては思いのほか有効。シンプルイズベスト。同時に「なぜヒイロ・デュオ・カトルはろくな回避行動をとらずに突っ込むのか」問題も一挙解決。避けてる暇あったら1機でも多くぶった切れって話です。ただでさえろくな中距離兵器を持たないW勢。下がりつつ避けたところで何の解決にもなっていない。結局は突っ込んでぶった切る以外に手がない以上、回避行動は最小限の方が戦果があがる。「ガンダニュウム製合金を使用した最も平均破壊効率のいい強襲型殺人兵器」こそがW系。防御限界を越える前に最大攻撃力を叩きこめば可及的速やかに勝てるという戦略思想。敵からすればこれは怖いの一言。OZの愉快な仲間達がことあるごとに「が、ガンダムだぁーっ!」と叫ぶのも当然か。他方、弱点は対象の分散・逃亡。逃げながら戦われると辛い。原作前半では拠点攻撃が基本だったので何の問題もなかったのですが、というよりはもっぱら拠点攻撃を想定していた為にあんなデザインになったのだと考えられるのですが、このゲームにはたまに逃げながら戦うやつがいるわけで。具体的にいうとポセイダル軍のアトール。第四次スパロボでは幸運熱血ハイメガキャノンのいい餌食だったのだがゲームが変わるとこんなにもうざいのか。それとゲーム序盤、宇宙を飛び回ったハンブラビ。トーラスばりの機動性がまだゲームに慣れていない僕の眼を眩ませる。頼みのバスターシールドまで外れて「これも駄目……か」。思わず「俺と一緒に地獄へ行こうぜ!」とリセットを押しかけた。青春である。

雑魚戦の話をしたので今度はボス戦の話をしますが、結論から言うと結構辛かったです。一刀両断できない相手とやりあう場合、手酷いしっぺ返しを喰らう破目になる。ええ喰らいましたとも。度々無様に喰らいました。ゼロ相手にほぼ互角だったアルトロンとは違い、デスサイズヘルがエピオンやゼロに押されまくっていた理由及び後半のデスサイズに“キレ”を感じなかった理由が今わかりました。超重武器をもった高速機にだらだらタイマンやらせちゃ駄目ですよ。

ガンダムヘビーアームズ

W勢の中では唯一安定した飛び道具を持っているので色々便利でした。と、同時に「なぜトロワ少年はMSでバク宙をやる程の腕前を誇りながらいつも棒立ちで闘うのか」問題の答えが判明。短く言って射角が狭すぎ。全武装が目の前の敵に向けてしか飛ばないんじゃああする以外に方法がないって話ですよ。そんなわけで、空間戦闘で初めて高速機と戦った時は攻撃が当たらなくて苦労しました。気分はビルゴ3に取り囲まれて苦戦したスネオ=バートン。アーミーナイフに関しては、自動リロード式なゲームの都合上、実質弾切れがないも同然なのでほとんど使いませんでした。ある意味残念。しかしガンダムVSガンダムの「ぎゃーなぜ生まれてきやがったー」なヘビーアームズ改よりはスネオっぽかったと思います。

その他運用について。色々試してはみましたが、結局こいつもW勢の例に漏れず「物凄い勢いで最大火力を打ち込んで即逃げる」パターン。つくづくテロリスト。W勢の中では唯一飛び道具が充実しているので拠点防衛ミッションなどに使おうかと思ったのですが運用が刹那的過ぎて思った程は使えない。いや、便利っちゃ便利なんですけど、やっぱりW勢に防衛戦をやらせること自体かなり無理があるなと思いました。あれ? 作文?

ガンダムサンドロック

弱い。楽しくない。「一番どうでもいい」という巷のイメージだけを完全再現したかのような機体。まずもってメイン射撃がヒートショーテル・ブーメランって時点でどうかしている。せめて肩ミサイルにしてほしかった。隙はでかいわ、射程が中途半端だわ、暴発が怖いわ、何よりイメージが崩れるわで誰も喜ばない無駄武装。そもそもさ。ヒートショーテルで二刀両断にしたいやつ以外誰も使わないだろこんな機体。そんなわけで、装甲値をマックスにして原作よろしく特攻要員。デスサイズが一度避けて突っ込むだったのに対し「そもそも避けない」僕のサンドロック。ジ・オとの壮絶な意地の張り合いは中盤最高の名バトル。修理代がエライことになっていたので、これ以降のサンドロックに一切の出番がなかったことは言うまでもありません。「僕に……僕に降りろっていうのかサンドロック!」

ただ一つ、シールドフラッシュを再現していたことだけは嬉しいポイント。「逃げることを想定した構成を敷いている」のがW系ガンダムの魅力なので、この撤退用武装が再現されていたのは嬉しい限り。もっとも、このゲームに撤退という素敵概念は存在するわけもないので、結局は「突進」→「太陽拳」→「二刀両断」という、男らしいんだか女々しいんだかよくわからない戦法にのみ活路を見出す現実。サンド・ストリーム・アターーック!

ナタク

この機体でテロリストをやらせようとした老子Oは頭がおかしいとつくづく思う。メイン武器がのびーるハンドでサブ射撃が火炎放射って貴方は何を考えているのですか。そりゃアルトロンにはビームキャノンがつくってもんですよ。*2とはいえ、最大攻撃射程が絶望的に短いことをのぞけばそこそこ使える。3種も格闘を持っているというのは使い分けさえ覚えれば意外と便利。メイン格闘で連打し損なった時のションボリ感を除けば、中々の爽快感。通り魔的に放たれる葛西火災アタックと相まって、飽きずに使えるところは高評価。デスサイズに比べれば、ボス戦もわりと楽しい。しかしそれより何よりのびーるハンドが異様なまでにのびーる。ドラゴンハングというよりは一種のガンダムハンマー。

他方、マイナス点としては、特殊技として切腹バーニアがなかったことがいただけない。あれをやってこそのナタクではなかったか。それと中華鍋。あれを投げれないと知ったときのがっかり感。バルカンいらないから中華鍋を投げさせてよ。

リリーナ嬢

原作で最もウザい時期を忠実に再現。実にウザい。彼女が全国「中学生の主張」大会に参加する際の、防衛ミッションにおける私のローテンションぶりは中々のものだったと記憶している。しかしリリーナ嬢が平和を説く中、テレビカメラの映らないところでバスターライフルをぶっぱなすのはある意味快感。しかしピースクラフト家にはろくな人間がいない。ある意味ラクス・クラインよりも性質が悪い。とはいえ、それでもカガリ・ユラ・アスハよりはたぶんマシ。たぶん。

*1:上回っていなければ作戦それ自体がそもそも成り立たない。

*2:つけたのはたぶんドクターJ