予想・来週の範馬刃牙

「倒した……あのピクルを……倒した」
 喜びに溢れる神心会のメンバー達。彼らは吼えた。歌った。正拳を突きまくった。烈が、そして郭までもが普段は見せたことがないような表情をしていた。東京ドームの、即興の、拳の祝宴会は30分間にも渡った。誰もが、誰もが克巳を祝福していた。だが――
「ピクルが立ち上がった……克巳さんっっっ!」
 おもむろに立ち上がったピクルは唐突に加速、克巳に強烈なパンチを見舞った。吹き飛ばされる克巳。なんとか立ち上がるものの、その身体はもうボロボロだ。
「なにやってやがる! てめぇはもう負けたんだよ!」
 末堂が吼える。しかしその理屈は、ピクルには通じない。

「バキよ……おんしはわかっておったのか。このことを……」
「はい。リアルシャドーで恐竜と戦い追体験したんです。ピクルの戦いを。ピクルの戦いに、10カウント負けやTKOなどは存在しない。食うか食われるか。克巳さんはピクルからダウンを奪ったあの瞬間、ピクルを濃硫酸の鍋に放り込んで調理し食すべきだった。克巳さんは……唯一無二の勝機を失った……」

 海堂・桃城両先輩のシングルスレギュラーの座を賭けて置きます。かって時は明治時代、柔道の達人西郷の投げを喰らい一本を取られた陸奥天兵は当然の様にこのようなことを言ったという。「甘い。俺に勝つにはあの場で頭を踏み抜いて殺していなければ。じゃあ続行」。俗に言うところの“陸奥ルール”発動である。ピクルもこのパターンでいくに違いない。“ピクルール”発動。いや、単に“ピクルール”言いたいだけなんだけどね。確率としては「2秒で跳ね起きた!?」の方がやや高い。