週刊少年ジャンプ14号

趣旨:「テニスが終わった」「じゃあジャンプ全体について語ろうか。もう、当分語らないだろうから」

テニスの王子様

「歌ったね」
「正直、あのままサムライドライブで押し切って勝利、そのまま先行逃げ切り型の最終回を迎えるとは思っていた。内心では」
「そしてその予想はある意味で正しかった。COOLに最終回だった」
「今まで様々な限界を超えてきた許斐先生はもう何も、いかなるテニス案も頭に残していないのだろう、と、密かにみんな考えていたはずだ。密かに」
「しかし、蓋を開けてみて読者愕然。許斐流最終奥儀は、テニスというよりはむしろソングだった。それも『作詞許斐剛』」
「最終決戦やってる間も、歌いたくてたまらなかったんだろうな、許斐先生」
「ただ単に、自作の歌を披露したかっただけなんじゃないだろうか、あの人は。絶対歌いながら描いてたよ。ノリノリで」
「天衣無縫の極み……ってか童心を最後まで忘れなかったのはこの人だよな」
「ああ、自分だけやりたい放題やるだけやってすっぱり終わりやがった……」
「正直……許斐先生の生き様が……うらやましい太……」

 それはそれとして「自称プロ級テニスのアメリカ人テニスプレイヤー」が光の速さで蛮行に走ってる辺りに、テニスの王子様を感じた。「ラケットは人を傷つける為にあるんじゃない」「バカたれが! ボールが怖くてテニス部の顧問が務まるかい!」はやっぱりグローバルなテニス格言だったんだな。リリアデント=クラウザーはやっぱりグローバルテニスの主流派だったんだな……お疲れ様。許斐先生。

スケットダンス

 早乙女浪漫が出た瞬間不安になった。在りし日の、テニスの王子様を見ていた時と同種の不安。果たして本当に漫画としてちゃんと成立するのだろうか、系統の不安。核兵器を御しきれるのか、系統の不安。この状況、確かになにをやってもアリだ。その代り、越えねばならない漫画文法の壁の圧力にくわえ、読者の想像を超えるアレっぷりを見せねばならないという重圧がヒシヒシと、見てるこちらにまで伝わってくる。元が、作者の予想を超えてブレイクしてしまったキャラだけに。作者は絶対困ってると思うんだ。本当は出したくなかったんじゃないだろうかと邪推しかねないほどに。つーかさ。早乙女浪漫を出した時点で生徒会側のキャラ立ちは終わったも同然。なにをやっても食われる。「四天王がパワーアップするシーン」のページを、くしゃっと丸めてゴミ箱に捨てた魚雷先生*1にすら素で勝てそうな人材を相手に、実は大して個性的でない生徒会の人達が一体如何なる抵抗をなせるというのだろうか。はっきりいって不可能だ。早乙女浪漫が50%以上の性能を発揮しただけで、生徒会は大衆から忘れ去られてしまうだろう。
 しっかし、本当に早乙女浪漫が出てきたよ。ぶっちゃけ今回の団体戦は「本当はまだ大してキャラ立ちしていないんだけど、作中ではキャラが立っていることになっている生徒会を本格的にキャラ立ちさせる」為の闘い、要は、早めに嘘を真にしとかないと後々痛々しくなっちゃうから先手を打つためのテコ入れみたいなものだと思ってたんだけど、どうやらそうではなかったらしい。このままいくと、このシリーズの成否にかかわらず結局生徒会は微妙な人達で終わるんだろうなぁ。早乙女浪漫が出た時点で、今のジャンプメンバーの9割9分が闘うまでもなくサレンダーだよ。

追記:読み返して思ったけど、生徒会とかホントどうでもいいわー。こうなってくると。

・ハンター

 不思議だ。休載直前はそれなりに楽しんでいたはずなのに、本当に何一つ面白くなかった。これはアレかな。休載を挟んだからなのかな? 休載で間が開く→再開時、状況説明系の吹き出しがどうしても多くなる→描写が間接的過ぎて全然のめりこめない、とかそんな話かもしれない。元々が、基礎をじっくり積み立ててから一気に爆発させるスロースターター、ミニ四駆でいうところの超高速モーターに似た作風のハンター×ハンター。戦闘中の仕切り直しはどうしても温度が低下しちゃうのかなぁ。まぁ、来来週ぐらいには熱くなってるんじゃないだろうか。というか、そうでないと困る。

ネウロ

 ひょっとして次の中指は、ネウロと闘う暇すらなく、他の指と一緒にシックスによって滅ぼされるのではないだろうか、という着想を得た。そろそろあの五本指の人達を本気で切り捨てないと、「なにをどうやっても初登場時からカリスマが下がる一方でしかない宿命を背負った絶対悪という設定」を抱えたシックスの株が直接対決前に下がりきってしまう悪寒。捨て駒にしてるっつっても、一応同じ血族なわけで、そう考えると血族のヘタレシーンはシックス自身のネガティブイメージに繋がりかねない。そろそろくるんじゃないかなぁ。「シックスによって残りの五本指撃滅→まさに外道」コンボが。

・アイシールド21

 「だからこそ」に代表される、倒錯理論を無駄に乱用、正道と奇道の区別がつかなくなった展開はただただ平凡なんだな、としか。横山三国志諸葛孔明を「賢い」と思えない感覚に近いというか。「別にどっちでもいいんだろ。コイツが白といったらどうせ白だ」系の諦念。ああ、来週はヒル魔先生直々のタッチダウンで試合終了だろうな、多分。

サムライうさぎ

 江戸時代、ひいてはガチガチの武家社会を、敢えて物語の舞台として設定した、この漫画世界において「女や魚屋が刀を振るってはいけない道理はない」という趣旨の発言が飛び出した際「ぐ、言われてみれば……」と普通に納得した、武士っぽい髷の人に違和感。なんていうか、引き下がるにしても別の言い方で引きさがりそうな気がする。うまく言えないけど。

初恋限定

 チョコレートに爆弾が仕込まれたりしなかったので詰まらなかった。

・サイレン

 闘いこそが日常と化した状況。よって日本刀はわかる。男二人も日本刀だけならまだ「状況が状況だけに仕方がないよな」と心を落ち着かせることができたはず。しかるに鎖鎌。アレはヤバい。あんな、宍戸バイケンしか使わないような武器をわざわざ仕入れている、その精神性がヤバい。真性だ。アレは真性だ。あのアクセントは怖いよー。ぷりてぃな女の子がさ。如何に武器が必要になったからといって、わざわざ鎖鎌を仕入れるとか、そんなこと普通では絶対有り得ないよー。あの子怖いよー。

・キックボクシングの漫画

 途中で読むのやめたんだけど一言。おそらくは多数あるのであろう、この漫画の敗因の内の一つはアレじゃないかな。一言で言うと「ノーダメージだっつうの!」。より噛み砕くと、バトル系の漫画にありがちな「毎回激戦を強いられる主人公が理不尽にタフ過ぎる」という問題点をクリアする為かどうかは知らないが、最初から「理不尽に硬い」という設定を用意したこと。なんていうかさ。何の解決にもなってないと思うんだ。読者が真に嫌がってるのは、「主人公が理由なく立ち上がること」はもちろんのこと「倒れては立ち上がるだけの単調な展開」だと思うんだ。

・まとめ

 来週からは100%立ち読みになるんだろうな、自分。