「携帯は人類の革新だ!」


08小隊ってかノリスさん*1を見ていた時の話。主役ってか喋る人形*2のシロー君が「俺はアイナと添い遂げる!」って言った瞬間ノリスさんが「アイナ様の恋人ってこいつ?」と感づくシーンがあるんだ。だけどノリスさんはニュータイプじゃない上、数あるガンダムの中でも通信システムそれ自体が劣悪っぽい08小隊において、ノリスさんがあの台詞を聞き取れるとはとても思えないんだ。んで、この時僕は「ニュータイプって便利だよなぁこういう時ご都合主義にならなくて」と思ったが、よくよく考えるとご都合主義と書いてニュータイプと読むことを思い出して沈黙。やはり戦争中に敵と人的関係を築くのは難しいってことなのだろう。よくよく考えると、ただでさえまともに会話できる人間が少ないガンダム主人公界において、まともに敵と人的関係を築けた例などいったいいくつあっただろうか……。そりゃあニュータイプしかでてこなくなるさ……。


アムロ

終生のライバル、シャアについてすら中盤までは「赤くて強い人」程度にしか認識していない。ララァなるスピリチュアルを媒介としてやっとお互いを認知。結局、人間らしいまっとうなルートで人格を認め合い戦ったのはランバ=ラル程度だったような気がしなくもない。あんま覚えてないけどさ。坊やも、壺の人も、ジェットでストリームな人達も、やらせはせんぞの人も、ヒトラーの尻尾も、あちらさんの有名人のことなどほとんど知らぬまま最後まで闘っているアムロ少年。あんまよく知らないけどさ!

カミーユ

記憶が曖昧なこと甚だしいが、確かあの電波君は持前の電波でクワトロ(蜀)シロッコ(魏)ハマーン(呉)からなる宇宙三国志の大将とニュータイプ繋がりで交信できたんだったか。ジェリドが何度別の機体に乗り換えても判別できたりと“ニュータイプ”のフラグ無用っぷりはとどまるところを知らない。万能通信機である上みなに共通の話題をも提供する「ニュータイプ」。ニュータイプ」を「携帯」と言い換えるとわりとしっくりくるあたり、この設定がいかに便利かつ安易かを物語っていることにさっき気がついて苦笑い。登場人物が軒並み電波である以上、交信ツールぐらいは高性能でなければ会話などままならない、というのはある意味でリアル。

ジュドー

三勢力入り乱れての総力戦というZ以上の泥試合になったにも関わらず「あいつはキャラ」「あいつはプルツー」のように一瞬で敵味方を判別している。しかし、(単にほとんど見ていないせいかもしれないが)見てるこちらはニュータイプではないので全然ついていけない。

・リョウ=ルーツ

やはり記憶が曖昧だが、印五番目の中の人のこととかアイツは全然知らなかったはず。結局、雑魚に毛が生えた程度のリョウ=ルーツが同程度の性能を有する機体に乗った敵エースに会話補正無しで勝てるはずもなく、ALICEなる中二システムが発動して勝利。「主人公、どこまでいっても、蚊帳の外」。ガンダムの伝統っちゃ伝統。

・コウ=ウラキ

ガトーのストーカー。ケリィとは強敵と書いて友と呼ぶ仲。シーマはアウトオブ眼中。以上。

・ウッソ=エヴィン

ニュータイプなので例によって例の如く敵の新型―Vはとりわけ新型MSが多い!―と電報通信が可能だが、相互認知できたところで全員キチガイなのであまり意味がない。

・Wの愉快なテロリスト達

物語の基本テーマが「少数派VS多数派」なので、ある種一方通行であることに意味があったりするのがやや特殊。しかし終盤になると、ゼクス・トレーズといった敵の大将と浅からぬ因縁を持つヒイロ・ウーフェイに比べ、他3人が限りなく空気に近かったことを考えるとやはり知り合いが多いに越したことはないというべきか。特に、「記憶が戻ったトロワ」などは記憶喪失の間何もしていなかったため、いざ記憶が戻ってみると弾をばらまく以外にやることがなく、記憶がない時より遥かに影が薄いという始末。その姿は例えるなら「心臓病が完治した三杉淳」。

ガロード

ニュータイプでもなれば作戦立案能力もなく、加えてろくに人脈もないため話の肥大化についていけない。基本的に「ガロード」―「ティファ」―「ジャミル」―「戦争」なのでリアルに「戦争までは何マイル?」な事態となる。「俺の女を返せ!」とか言っている間はまだいいのだが、実際に彼女を奪還してみると他にはサテライトキャノンをぶっ放すぐらいしかやることがない。エニル=エルのワイズワラビーとやりあっていた頃が(物語的にも)一番輝いていたと思えてならない。やはり相互認知は重要だと思うんだ。因みに、ガンダムXは「ウィッツ・ロアビィ」―「トニヤ」―「エニル」―「ガロード」―「ティファ」―「ジャミル」―「ニュータイプ」―「戦争」―「新連邦・宇宙革命軍」ぐらいを軸に、フロスト兄弟が狂言回しとなって物語が展開され、メインとなるのは「ガロード」から右側なのだろうが、見てて面白いのは「ガロード」から左側だと思うんだ。

・『悪のブラックプリンス』キラ=ヤマト様

初代ガンダムを模倣しているのはわりと有名な話だが、シャアの役割がアスランとクルーゼに分割され、一方のアスランが途中で仲間になってしまう為、他方のクルーゼとキラの間にまともな人的因縁が存在しないのが物語構成上のネック。クルーゼの叫びに対し「いや、そんなに吠えられてもキラ君には何が何だかわからないと思うよ」とは最終回で誰もが思ったはず。キラ様にもそんな時代があったんだ。もっとも、その後は絶対者として君臨。フラグなど無用。下々の者はみなキラ様を知り、キラ様は下々の者のことなど知る必要がないからである。
・シン=アスカ

ああ、こいつは主役じゃなかったな。ごめん間違えた。

・刹那=F=セイエイ

前半最終回、グラハムとの激突の一方通行ぶりは「駄作かな? 凡作かな? 隠れた名作かな?」という視聴者の最後の迷いを断ち切るのに十分な破壊力。あれをフラグと言いはる制作スタッフはある意味で豪の者と言えるかもしれない。そもそも、グラハムは一兵士に徹しているため刹那の問いには答える資格がそもそもない。*3無論「一方通行である」という悲劇を敢えて描写している可能性もなくはないが、「トランザム終了後」「疲労困憊」「未だ腕は1.5流なる描写」と三拍子揃った刹那に対し、GNフラッグを使って尚互角が精いっぱいな“最強”グラハムを見るにつけ、大方勢いでごまかそうとしたのだろう。ちなみに、この作品はガンダムマイスターがWの愉快なテロリスト程主体的・活動的でなく、中々話が動かない為話のスケールの割には少々飛ばしても実はあまり問題がない。え? 僕? 合計して5話分ぐらいは見たと思いますよ。確か。

・ドモン=カッシュ

結局のところ「拳で語り合う」が最も効率と説得力を兼ね備えたやり方なのかもしれない、と思いました。

男なら……拳一つで勝負せんかい!

*1:08小隊の90%はノリスとグフカスタム。残りの10%はアッガイジムスナイパー

*2:コウ=ウラキとかと同類項。

*3:「そもそも」二刀流!