正しい事と間違っている事。

新機動戦記ガンダムW 9 [DVD]

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 最近気がついたのですが、リーオーのデザインって歩兵+戦車なんですよね。もう少し書くと、ノーマルリーオーが歩兵寄りで、指揮官用の肩部ビームキャノン搭載型リーオーが戦車寄り、といったところでしょうか。そしてエアリーズが歩兵+航空機。この辺のデザインに製作者の思想が見えて面白い。この作品の序盤では、旧体制の連邦と新進派のOZ、この2つによる内部争いがたまに描かれるのですが、連邦の主力がリーオーなのに対しOZはエアリーズを重用している。リーオーもエアリーズも一長一短であり、両機の総合性能には(多分)差はなく、運用上はケーズバイケースなんですが、エアリーズ≒航空機を重用した*1OZの方がリーオー≒戦車を多用した連邦よりも強かった、というのは中々画面的に訴えるものがありますね。現実の戦争及び兵器進化の歴史について僕らが抱くイメージ*2をさりげなく利用している。そして、そのイメージを敢えてぶった切って当時の僕らにインパクトを与えたのが、「正統な近代兵器論を完全に無視」したトールギスと、その発展型であるガンダムなんですね。つまり、最初に正しい例を示しておいて、敢えて間違ったことをする、と。それがこの作品を作った人の考えるケレン味だったのかもしれません。


追記:この辺を踏まえると「かってボタン1つで戦争の決着がつく時代があった」というトレーズ様の御言葉が身にしみますね。あの世界における戦争史。歴史はその悪意を増幅して繰り返す、その着地点が無人MSでありリーブラだ、と。トレーズ様はそれに逆行して、世界国家元首という地位にありながら超巨大戦艦リーブラにたった一機で決闘を申し込むという傍から見ないでも狂気の沙汰としか言いようのない行動に及んだわけです。トレーズ様万歳。

*1:OZもリーオーを主力の一角にする。しかし、本腰入れるときは大抵エアリーズ。

*2:軍人将棋でも航空機>戦車。