なぜライダー式円盤保険金詐欺は衰退したのか

 ライダー式円盤保険金詐欺は別名フリーライド詐欺ただ乗り詐欺などと言われ、半年者間裏決闘界を牛耳ってきたと言われる悪名高いカード詐欺のことを指します。また、一部では【ディスクライダー】などとも言われ、関係者一同から酷く恐れられた手法として一世を風靡した事はあまりに有名です。

 この詐欺の仕掛け方は、聞いてみるとあまりに簡単なものでした。まず、《黄泉ガエル》やら《D−HERO ディアボリックガイ》やらにより格安で《光と闇の竜》、いわずとしれたライダーを仕入れます。次に、その仕入れたライダーで商売敵を相手取り追突事故。ライダー代と同等か、それより多少上乗せした分のアドを取り、最低でもアド相殺に持ち込みます。そうなればしめたもの。予め入っておいたライダー式円盤保険で1体分の生贄作業員と2枚のカードを入手。落ち目の商売敵を尻目に、その後の取引(デュエル)を圧倒的優位に進められるというわけです。当時、この詐欺によって交渉力を奪われ、骨の髄までしゃぶられた業者(デュエリスト)が後を絶たなかったと言われています。

 わかりやすく例えるなら、格安で仕入れたニコイチ車を相手のマシンにぶつけて双方大破。過失割合50:50の過失相殺で痛み分け、かと思いきや、元がニコイチなので低リスク。おまけにこちらだけ保険金でがっぽがっぽ。いやぁこれだから交通事故はやめられまへんなぁby極悪がんぼ。なんと恐ろしい事でしょう。現に、全盛期においては、こちらもライダー式円盤保険に加入する以外に対処法はないとまで言われていました。まさにお手上げ。この詐欺を得意とした集英組などは、このライダールートにより数億もの年収をあげたとまで言われています。無論、世論の非難を一身に浴びた集英組は司法(コナミ)の査察を受け、一時期などはすわライダー消滅かと期待が高まりましたが、結局は司法(コナミ)と集英組(ヤクザ)の癒着を示すだけの結果におさまり、誰もがこれからも続く暗黒時代に絶望したといわれています。

 しかし、盛者必衰のこの世情。フリーライド詐欺にも衰退の時が訪れました。その主な要因は2つあります。1つは、鴉保険会社(Damage Defense Crow Company)の査定が厳しくなったこと、そしてもう1つは、成長著しいダーク社製、ライト社製の新型マシンの存在です。前者は言うに及ばず後者はライダーにとって青天の霹靂でした。ニコイチライダーによる交通事故でアド相殺をとってこそのフリーライド詐欺。ですが、ライダー以上のパワーを持ち、ライダー以上に格安のダークアームドカージャッジメントカーはその前提からして覆します。特に、ジャッジメントカーなどは交通事故で一方的にライダーを葬る為、もはや詐欺どころではありません。また、他の要因としては保険金詐欺自体に旨味がなくなったことも挙げられそうです。「天使の羽でお届けします」のキャッチコピーで一躍有名になった天使印の円盤保険。こちらに加入する決闘者が増えた為、かってほど一方的に優位な取引を進められなくなった、といった周辺事情も決して見逃してはならないでしょう。

 これらの理由によりフリーライド詐欺は下火になったと言われています。もっとも、このままフリーライド詐欺が衰退の一途を辿るか否か、この件については未だ予断を許さないといわれています。と、いうのも、ライト社製、ダーク社製のマシンには疑惑の余地が潜んでいるからです。2社の新型は確かに安くて強い。しかし、その裏には墓地詐欺が関与しているのではないか、との裏情報が市場では専らの噂となっています。もし仮に、その疑惑が立証されたなら、司法(コナミ)の重い腰が上がり、アド禁止法違反によって2社には営業制限・営業禁止といった処分が下されるかもしれない、というわけです。そうなれば、再びライダーは息を吹き返すやもしれません。無論、慢性的な通貨(パワー)のインフレが続くこのご時勢は、フリーライダーにとっては向かい風として作用するでしょう。昔ほどの稼ぎは期待しにくいかもしれません。しかし、忘れた頃にやってくる、この悪質な詐欺について、私達は常に、最低限のメタを張っておくべきではないでしょうか。―村中捨長(フリーライター)―