テニスの王子様Genius370『神の子』

幸村精市は強い。間違いなく強い。
・手塚・真田・跡部・金太郎・師範・千歳・橘……etc、強キャラが至るところに跋扈する日本中学テニス界において尚、ラスボス候補としてわりと初期からことここに至るまで温存され続けた程に強い。
・幸村が後に控えていたからこそ、関東大会でリョーマは真田を下し、青学は優勝できた、などと考えることも可能。つまり、許斐剛は一貫してこいつこそがラスボスだと心に決めていた。それ程に強い。
・「皇帝」「キング」を凌駕する程に強い。ギャラリー曰く「神の子」。“神に最も近い男”と噂され続けた手塚国光をもってしても、果たして、全ての力を解放した“神の血統”に太刀打ちできるものであろうか。
・不可視・無効化・身体破壊・ジャミング・アストロン・亜光速移動を兼ね備えた『風林火陰山雷』や、コート上全てを凍らせ世界の急所を炙りだす魔眼『インサイト(氷の世界)』、“この世の誰も手塚という真実には到達できない”地上最強の護身術*1『手塚ファントム(別名:ゴールド・テヅカ・レクイエム)』よりもエグイ技が待っている、と全読者が何の疑いも無く確信するほどに強い。
・多分「王子様」のままでは勝てない。クラスチェンジが臨まれる。例えばMTGでいうところのインカーネーション*2化。新たな属性名は「庭球」。天衣無縫化することで解脱完了。万物全てがテニスになる。
幸村精市最大の恐ろしさは、ラスボスとして露骨に圧倒的である一方、病人フラグ、ひいては死亡フラグが未だ立っていること。元々存在自体がジョーカーに近いため、命と引き換えに立海に勝利をもたらす、例の展開が待っていないとは言い切れない。
・『ガラスの貴公子』三杉淳キャプテン翼)や『世界最強の被爆者』トキ(北斗の拳)の例を出すまでも無く、ジャンプ漫画の病人は異常に強い。「結核はオサレだ!(意訳)」と喝破した『隠喩としての病い/スーザン・ソンタグ』の話を持ち出すまでもなく、僕らは病人こそが、何時の時代も最強候補なのだ、と暗黙知において知っている。
・だがむしろ、今週の幸村には真・ミストバーン的な恐ろしさを感じたとも付け加えておく。地上最強の肉体が自分にアストロンをかけたまま襲い掛かってくる、あの純度100%の反則技を思い出した、と。そもそも「神の子」が病気にかかる筈など無い。定期的な体力ダウンは、不死身の身体を得た代償なのではあるまいか。或いは、病気を禁呪法で乗り越えた可能性もまた有り得る。不死身になれば病気なんかへっちゃらだ、と最強クラスのテニスプレイヤーが考えることにどんな違和感があろうか。そのくらいやってもおかしくない凄味が奴にはある。「オルハリコンで出来たラケットをねじ切った!それも無造作に、力任せに……」
・大体90%ぐらいの確率でどちらか一方が死ぬと思う。5%くらいの確率で対消滅。誰も死ななかった場合「許斐先生はこちらの予想を裏切りに来た」と考えるのが正しいテニス読者。さぁ、最終試合だ。長かった、長かった宴もこれで終わりなんだ。どんな結果になろうとも、皆で見守ろうじゃないか。*3―署名:村中捨長―

 

*1:兼自爆技

*2:権化・化身

*3:と、言いつつ、来週最終回ならジャンプを燃やす覚悟がある。