三幻魔〜ウリア・ラビエル・ハモンの並び方こそが真〜

第149話の『三幻魔』は理論上最弱な三幻魔だった。But異常なまでに強くて格好よかった。

OCG版に完全準拠した第149話の三幻魔はカタログスペック上最弱の三幻魔だった。それも正規の手続きを踏んで召喚された三幻魔だった。だが強く見えた。強く見えたんだよ。なんでだ?眼の錯覚か?いいや、違う。この僕ほどの男が見間違えるわけがない。ただ……ちょっと不安になったので『TURN-48 VS影丸(前編)2つの幻魔』『TURN-49 VS影丸(後編)三幻魔覚醒 』『TURN-129 三幻魔の脅威!十代VSマルタン』『TURN-130 レインボードラゴン覚醒 』辺りを見直してみた。そして思う。「三幻魔ショボ」……と。もしかするとこの件については、今までの三幻魔が真の魅力を発揮できなかったのがまず第一に問題だったのかもしれない。つまり昔のGXが間違っていたんじゃないか?元々三幻魔については「魅せ方さえ間違えなければ絶対に格好いい」と思っていた僕だけに、軽く検証したい気持ちが一寸沸いてきた……というわけで以下検証。

影丸理事長版三幻魔]
・三幻神が標準装備していた胡散臭い効果耐性だけは地味に受け継いでいる。
・ウリアの復活能力は確かにオシリスを凌駕する。だが、実際は「神の領域―ゴッドファイブ」のリメイクに過ぎない。攻撃力が無限に膨れ上がる一方使用者がその力を制御仕切れずに自滅したオシリスに比べるとスケールそれ自体が小さい。
・ハモンの容貌は「神々しい」の真逆とも言うべき骨と皮。能力も攻防両輪ながらやや微弱。
・ラビエルの能力は単純にオベリスクの下位互換。インフィニティ・ゴッドハンド・インパクト>天界蹂躙拳。
・強力なステータスと効果耐性を持つにも拘らず、三幻魔全体で5〜7回程度墓地送りにされている。

(実際に作品を見れば一目瞭然だが)影丸理事長が使っていた時の三幻魔は言わば「神のレプリカ」のようなものだった。当然『神』よりもインパクトが薄く、無駄に長いテキストと共に満を持して登場したはいいが、『キングヒドラ』『バラモスブロス』『バラモスゾンビ』が息継ぎしながら順番に出てきた程度の存在感しか出せなかった。要するにこの戦い、それぞれ召喚条件の異なる幻魔と本来なら三連戦をやるところ、面倒だからと一つの戦いに圧縮されたに過ぎないわけで、やはりスケールの小ささは否めない。幻魔以外に障害はない以上幻魔を一体一体処理すればそれでOKだった。
「二線級決闘者の影丸君が下位互換を持ち出して何かやってるぜ」
結局の所、初出の三幻魔は見掛け倒しだったと言うしかない。だが、それなら何故影丸版よりも弱体化したユベル版三幻魔が圧倒的なオーラを発するに至ったのか。これは実の所、三幻魔が満を持して登場しなかったところにその原因あるのではないか。ユベル版の三幻魔はもはや効果耐性を持たない。《ソウルティカー》や《炸裂装甲》を喰らっても「〜に〜は効かない」と都合良く言い張る事はできず、《サイバー・レーザー・ドラゴン》のビーム一発で砕け散る。加えて今の三幻魔からは再生能力ひいては再生資格すら失われているのだ。*1だが、それ故ユベル版三幻魔には恐れが無い。1ターン目からガンガン突っ込んで行ける。だからこそユベル版三幻魔は「特殊能力搭載型高スペック機」という単純な『力』を如何なく発揮する事ができたのだ。無論劣化した幻魔の単体攻撃なら作中においても十分対処可能なレベルであり、『単体』で『ラスボス』になることはできないだろう。だが、作中では『初っ端から』『三体がかり』で奴らは襲ってきた。そう、三体がかり。強者がなりふり構わず三体がかりで襲ってくる恐怖。これこそが三幻魔フォーメーションの真の恐ろしさだ。*2

[☆想像してみよう☆]
・各自1つづつしか念能力を持たない幻影旅団の戦闘担当が三人がかり
・各自1つづつしかスタンド能力を持たない暗殺チームの上位クラスが三人がかり
・各自1〜2個しか必殺技を持たない黄金聖闘士の上位クラスが三人がかり
(・ジェノブレイカー・バーサークヒューラー・凱龍輝が三体がかり)

な、地獄だろ。こいつら基本『一芸』の癖して全く勝てる気がしない。殺る前に殺られるのがオチだろう。詰まるところ、ラーとかそこら辺が持つ無駄に長いテキストはやっぱり無駄なんだ。二束三文な効果耐性も必要ない。土台TCGに完全な『無敵』『不死身』なモンスターなど存在しない以上*3、駄々をこねればこねるだけスケールが矮小化される。*4だったらTCGらしく最大戦力をピンポイントで惜しげなく投入して圧殺する方が格好いいのだ。そしてそれをやった今のGXはHotだと思う。*5
「万能選手など必要ない。全員で殺られる前に殺ればいい」

もっとも、この「ジェット・ストリーム・三幻魔」が可能となったのは幻魔が「神」ではなくあくまで「魔」属性だったからだろう。もし「神」ならこんなことはできない。まず間違いなく「1ターン目から余裕無く玉砕特攻を矢継ぎ早に仕掛けてくる神々っていったいなんなんだ」というツッコミが入る筈。「神」は玉座を必要とする。大衆に崇められなければ神は神になり得ない。だが幻魔は違う。こいつらはいわばデュエルモンスターズ界の番長。むしろ先頭に立って突っ込んでいく方が絵になる連中なのだ。それも三体が連合を組んで違う切り口から我先にと攻め込んでくるから手が付けられない。まさしく「番長三巨頭」。例えるなら「鋼鉄番長」と「ピストル番長」と「魔法番長」が手を組んで一度に突っ込んでくるようなもの……これは恐怖だろう。そしてその容赦なさこそがTCGに息を吹き込むのだ。

「TCGに神は不要。神とはそれ即ち当て馬の言い換えにすぎない」
続く……かもしれない。

*1:多分。てか、ここまで書いといて来週以降あっさりと昔の設定に戻ってたら泣く。

*2:ハモンの骨と皮が『凄味』に成り代わる。あのデザインはもしやこの為にあったのか?

*3:例外:エクゾディア。召喚された場合100%敗北。

*4:もっとも、エクゾディオスは潔い能力でGOODだったと思う。

*5:昔微妙で今熱いという結論は僕だけかな?僕だけか。