考える内に面白くなったのでやるだけやってみた。

チャットから自問自答に至るまで数十時間が無駄に費やされた命題「遊戯王において【ドローゴー】は果たして成立しているのか」に遂に光が見えてきた。仮説3つを用いて論証してみよう。
…無駄に長い上、我ながら驚く程『非』建設的なので見る人は覚悟するように。ホント何一つとして『得』が無いぜ。溜息率100%。

仮説A:遊戯王OCGの【ドローゴー】は単なる【パーミッション】なのではないか

理性的に考えるとこの説が当方最もおススメ。何故なら本来的な意味の【ドローゴー】とは自分のターンを「ドロー」「ゴー」といった必要最低動作で済ませることにより相手ターンにおける「隙」を極限まで減らすことを志向したデッキ類型。だが遊戯王OCGではそんなことをする意味が何一つない。よってこのデッキは相手の行動を逐一許可制に変える【パーミッション】と呼ぶのがふさわしい…と考えるのがこの説だ*1。カウンターの枚数がMTGに比べて不足しまくっている―とてもじゃないが相手ターンにカウンターを撃つだけでは敵の仕掛けを捌ききれない―という事実をも踏まえれば、この説が最も説得力があるように思える。つまり現在流通している【ドローゴー】等紛い物の似非デッキだと断定するのがこの説の帰結というわけだ。だが…この説にはがない。ロマンがない。そしてそんな夢もロマンもない解答が解答である筈がない。よって次の説に移行させてもらう。第二の説はコレだ。

仮説B:遊戯王OCGの【ドローゴー】は単なる「ごっこ遊び」なのではないか。

遊戯王OCGの特性上「ドロー」「ゴー」する意味がないのに【ドローゴー】を志向。ここにファン根性を見出すのがこの説の特徴だ。これもまた有力な説である。「無行の位」を髣髴とさせるセットエンドは確かに魅力的であり、その為だけに構成を偏らせる人間が10人100人いても何ら不思議は無い。そしてこの説ならば【ドローゴー】は名*2*3共に完全なファンデッキとして成立する。ただ、この【ドローゴー】が如何に相手依存のバトルコンセプトレスなデッキ構成であるとしても、何処かに刺さる可能性がある以上「ごっこ遊び」とまで言うのは少し相場が違うのではないか…というツッコミがあり得る為この説もまた完璧ではない。そこで第三の説が登場する。

仮説C:MTGの【ドローゴー】はカウンタースペルを多用するデッキの中でも相当偏ったデッキのことを指す意味あいが無きにしも非ずなのだから、遊戯王OCGにおいてもカウンター罠を多用する相当程度偏ったデッキがあればそれらは皆【ドローゴー】なのではないか。

新説。従来の説は「不完全な輸入」「真似ているにも関らず真似切れていない」「単なるごっこ遊び」などと遊戯王式の【ドローゴー】に実態がないことを指摘していたが、実はそれら全部が誤りであり、実際はちゃんと概念を輸入出来ていたとする説がコレだ。MTGにおける【ドローゴー】が「見た目にやたら偏った守備デッキ」であるというその一点にのみ着目、その結果として「遊戯王OCGの常識に照らし合わせると異常に偏った構成を持つ守備重視のデッキが存在するならそれらを全部【ドローゴー】と認定してしまって何ら問題ない」というコモンセンスが導き出されたのではないか。つまりMTGを半端に知っている僕には【パーミッション】にしか見えないデッキでも、遊戯王OCGを一心不乱にやってきた人間からすればそれは「遊戯王OCGの常識に照らし合わせると異常に偏った常識外れの守備デッキ」であり、そしてそれらは皆一様に【ドローゴー】なのだ。事実僕が“ドローゴー”“遊戯王”検索したところまともな定義は一切無く、その偏ったデッキ構成ばかりが取り沙汰されていた。それはとりもなおさず遊戯王における【ドローゴー】がカウンター罠を多用する―(或いはそれすらも没却されている場合がある)―異常に偏ったデッキを指すことを意味している。実際問題として例えばこのデッキレシピなどは僕からするとなにがどう【ドローゴー】なのかが全くわからない。通常・永続魔法がこれほどまでに大奮発されたデッキの何処が「ドロー」「ゴー」なのか僕には何一つ理解できない。だがそれでいいのである。偏ってさえいればそれは【ドローゴー】と名乗る資格を備えているのだ。そしてその偏りとは大抵においてモンスターが入っていないことを意味している。或いはこんなデッキもある。カウンター式ドローゴー…頭が痛くなってくるがこれもアリだ。この直ぐ下の記事には「ドローゴーにカウンター罠&ヴァンダルギオンを加えたデッキです。」などと明らかに何かを勘違いした記述があるがこれだってOKだ。とにかくなんか守備重視に偏ってりゃ【ドローゴー】なんだ。*4これならば遊戯王wikiの記述が無茶苦茶なのも全て説明が付く。「(遊戯王OCGの常識に照らすと)異常に構成が偏った守備重視型地雷デッキ」の要素を片っ端から集めたらああなってしまったというだけのお話。だがそれでも問題なく【ドローゴー】なのだ。繰り返すがMTGからの輸入は大枠において成功を果たし、今も何処かで遊戯王OCG型の【ドローゴー】―異常に構成が偏った守備重視型地雷デッキ―が製作され続けているのである。無論それは前述の様な「根無し草」デッキではない。デッキビルダー毎に特定のコンセプトが「味付け」された【ドローゴー】なのである。ことここに至っては、遊戯王OCGにおける【ドローゴー】に共通した戦術思想を求める事自体が既にナンセンスなのだ。問題なのは、特定の相手に対しては確実に勝てるよう十分に偏っているかどうかであり、「それを如何に突き刺すか」という地雷的発想こそが遊戯王OCG型の【ドローゴー】には求められるのだ。*5

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Q.この論証によって森勇一の【ドローゴー】はガチになりますか。
A.いいえ。彼があのデッキで最強を主張する限り八百長です。*6

結局のところ、僕の悩みは何一つとして解決されないのだ。

*1:一応言っておくが「モンスター0」=「ドローゴー」という発想は無意味。

*2:=「志向」

*3:=「強さ」

*4:場合によっては守備型である必要性すらない。偏っていて、かつ自分のターンに仕事が少ない気がすれば、それはもう全部【ドローゴー】だ。

*5:この考え方なら「特定デッキメタ系地雷デッキ」というカテゴリーに居座れる。積極的なコンセプトがないことも「メタ系だから」で納得だ。

*6:「だって地雷だから」