この駄文に敢えて題をつけるなら「相対ゲームの標準ってなに?」

命題:ankさんのグッドスタッフは本当にグッドスタッフなのか?

 まぁ実際問題、名前なんて無駄に誤解を生まなきゃそれでいいんですがと前置きした上で木と木の間に蜘蛛の巣を張るがごとくダラダラ語ってみましょ。結論からいえばankさんのアレはたぶん【グッドスタッフ】だと思います。理由は「ガンダムヘビーアームズに乗ったトロワ=バートンを彷彿とさせるから」もとい今から説明する諸々の事情があるから。ただ遊戯王OCGでこれについて説明する場合、まずは【スタンダード】という名の亡霊について一言二言言っておいた方がいいような気がしますね。では、書きましょうか。え?なんで書くかって?最近ネタがなかったんだ。もうホント過疎が酷くて酷くて。

・意味不明な【スタンダード】

 僕が遊戯王wikiに初めて触れた際わけがわからなかった3大デッキが【スタンダード】【帝コントロール】【ドロー・ゴー】であることは既にこの世の常識ですが、この内【スタンダード】に関して言えば初心者殺し&荒れ要因が甚だしいので遊戯王wikiはそろそろコレを歴史的な概念にする(或いは3行で語ってしまう)べきだと思います。と、いうのもこの【スタンダード】。相対ゲームであるところのカードゲームにおいて、何をもって【スタンダード】などと呼びうるのか、そんな理由、昔はともかくこの現代決闘において存在するわけがないじゃあないですか。だって奥さん【スタンダード】ですよ【スタンダード】。漢字に直せば【標準】ですよ【標準】。メタゲームなる用語が存在し、あの不死身生物《Dragoon D−END》すら『環境』によって脆くなったり硬くなったりするこの御時世に【標準】ですよ【標準】。海外のMTGゲーマーが聞いたら素で笑いだしそうな話ですよ。
 冗談はさておき、もし【標準】と呼ばれるデッキがあるとしたら、それは環境支配率が60%〜70%を超えたデッキでしょうね。つまりは昔の【ガジェット】とかでしょう。そう、当時の【ガジェット】は【スタンダード】だったのです。え?【スタンダード】ってのは単体で活用できるカードの集合体だって?そんなの誰が言ったんですか。カードゲームの基本がコンビネーションにあるのはこの世の常識。であるならば、単体のカードパワーで戦う、あるいは戦“える”、そんなデッキの方がむしろ異端児でしょう。え?対応性が高く隙のないデッキこそが【スタンダード】だって?はいはい。仮にそれが正しいとしましょう。でもね。1キル以外の、或いは1キルを始めとした「抑え込み」をそれに含めた上で、本気で対応性の欠落したデッキがどうやってトーナメントを席巻できるんですか。この辺100%伝聞情報ですが、少なくとも当時の【ガジェット】は、除去も生物も、当時において必要なものは一通り揃えていたはずですよ。伊達に時代は築いていません。というか、これのどこが非【スタンダード】なんですかって話になっちゃうわけですよ。まぁ、僕の判例研究はわりと適当なので前提から間違っている可能性は否定しませんが。
 つまるところ、遊戯王wikiの言っている【スタンダード】ってのは一種の【グッドスタッフ(意訳:高級菓子詰め合わせセット)】でしかないわけです。こんな馬鹿馬鹿しい話がまかり通っているのは、とりもなおさず昔の遊戯王OCGがろくなデッキバリエーションを持たなかったことに起因するのでしょう。或いは、元々遊戯王OCGには基本コストの概念が希薄だった、というのも挙げられるでしょう。ですが今の御時世、【スタンダード】という呼称を用いるのは初心者殺し以外の何物でもないと思います*1遊戯王wikiのそれは【スタンダード】ではなく【グッドスタッフ】、そして【グッドスタッフ】とは、仮に環境を支配して尚、カードゲームの原則と照らし合わせれば一種の異端児なのです。*2画鋲を喜々として靴底に仕込む、そんな決闘者御用達なのです。

・じゃあ【グッドスタッフ】って何さ

 簡単。有効射程の広い有用カードを多数投入し、仮想敵に対する一通りの対処法を具備した隙の少ないデッキとかその程度でお釣りが来ます。従って、特定のカードが入っていなければそもそもそう呼ばれようがない【ガジェット】や【帝】とは違い、その概念射程は(少なくとも遊戯王OCGにおいては)思いのほか広い。ダムド入れようがライダー入れようが、それの為にデッキが傾いていないんならたぶん【グッドスタッフ】。もう少し言えば、かって弾を撃ち尽くしたガンダムヘビーアームズパイロットに対してカトル=バーサーク=ウィナーが言った「あの人は飛び道具になんか頼ってない」じゃないけれど、ライダーの為にデッキがあるのではなくデッキの為にライダーがあるのならそれは【グッドスタッフ】でいいんじゃないかな。
 まぁ、ライダーを用いる場合はどうしても“生贄要員”という名の非汎用性が問題となるのは事実ですけど、元々“生贄”は遊戯王OCGの基本ルールですし、加えてankさんの“これ”“これ”の場合、生贄要員として特に意識して入れられているのは墓守(招集系)や黄泉辺りなのでしょうが、黄泉の頭の悪さについては最早グッドもバッドもないですし、偵察者は単純な意味での壁(守り)として十二分に【グッドスタッフ】してますよね。更に彼はライダーを用いつつもディスクを入れていなかったり、入れても《おろかな埋葬》の投入までは見送ったりと、決してライダー一点張りの構造にはしていないのですね。で、一通り相手の仕掛けを捌くカードが揃っている……じゃあ【グッドスタッフ】じゃん。まぁ、呼ぼうと思えば他になんちゃらライダーだのなんだの呼べるんだろうけど、他に呼びようがあるからといってすぐさま非グッドスタッフにはならないからね。狭い概念を広い概念が包括するなんてこういうところじゃ日常茶飯事。目くじらを立てる場所を間違っている、ということに。因みに《死のデッキ破壊ウイルス》が1枚挿してあるから、というだけの理由で【グッドスタッフ】を【グッドスタッフ】と呼ばないのはただの馬鹿なので気をつけましょう。心が狭い人だと思われます。*3
 もう少し書くと、遊戯王OCGはMTGと違い大会で活躍するデッキの95%超に汎用性◎な《サイクロン》《大嵐》或いはなんらかの生物除去が投入されるような世界であるが故に【グッドスタッフ】と【それ以外】の区別が曖昧だとは思います。昔のMTG(ウルザブロック)の超高速緑単デッキ【ストンピィ】とかだと、“殴るカード”と“殴るカードを後押しする為のカード”しか入っていないとかそういうことがザラだったそうですから。基本コストがないが故の差異ってやつです。実際、MTGで真面目にグッドスタッフを作ろうと思ったら、最低3色、下手すりゃ5色デッキに手を伸ばす羽目になって、手札自体の対応性或いは単体のカードパワー偏差値があがったはいいが土地事故を誘発、結局この世の何にも対応できなかった、という笑えない事態が普通にありえるのですな。まぁ、お国柄というやつですよ。この辺は。劣等感や優越感を覚えるような話じゃないのであしからず。まぁ、こんなとこですかね。適当に語ると。

・余談:【開闢スタン】の意味が真剣にわかりません

 これ、本当に何言ってるんだって話ですよね。開闢入りのデッキが時代の“標準”だと思うならそのまま何もつけずに【スタンダード】と呼べって話ですし、開闢入りのデッキが時代の異端児だと思うなら【開闢ビートダウン】とか適当にでっちあげろって話ですし。正直言って、僕には何を言っているのかさっぱりです。この【○○スタン】ってたまに見かけますけど、○○の部分って要は「“標準”の枠内に入りきらなかった」と作成者が勝手に思っている部分ですよね。要は異端。つまり【○○スタン】の全部を漢字に直すと【異端標準】……どこの元村信也ですか。てか、そこまでしてなんで【スタンダード】に拘るのでしょうか。まさかスタングレネードのスタンと勘違いしているとかそういうオチじゃないですよね。いや、実を言うと僕は昔の学び始め、一瞬だけ勘違いしてたんですよ。まさか仮にも高度に発展したカードゲームにスタンダード(標準)とかそんな話はないだろうって。だって【開闢スタン】ですよ【開闢スタン】。何が言いたいんだって話ですよ。まぁ、それだけ当時の開闢、つまりカオスは影響力の強いスーパーカードだったんでしょうが……変な話ですよね、コレ。
 この手の呼び名のアホっぽさについてはもう一つ、【ノーカオス】というものがあります。これは十中八九MTGの【ノーファイヤーズ】が元ネタなんでしょうが、はっきり言って傍から見たら意味不明です。【ノーカオス】……カオス抜き……それはいったいどういうデッキなんですか。カオス抜いたって言われてもそれだけじゃ情報が足りなすぎます。この点、MTGの【ノーファイヤーズ】なら元々が《ヤブイヤマの火》を起点とした赤緑の超高速型ビートダウンですから、【ノーファイヤーズ】と聞いた瞬間《ヤブイヤマの火》=ファイヤーを抜いた赤緑ビートダウンだな、と想像できます。色の概念を始めとして相対化が徹底されたMTGならでは技ですね。もっとも、遊戯王OCGでも合理的にこの手法を使うことはできます。一言【ノーメガロック】と言えば「《メガロック・ドラゴン》非採用型の岩石族だな」といった具合にそのデッキ内容を名前から想像できますよね。つまりはメガロックを入れるか入れないか、という話になった時点で岩石族の文脈になっているからこそ可能なネーミング手法だというわけです。しかるに【ノーカオス】……これってほとんど【それ以外】って言ってるのと同義じゃないですか。「カオスにあらねば人に非ず」な世界が目に浮かびます。まぁ、実際そうだったのでしょう。だからこそ、こんな意味不明な概念がまかり通ったのでしょう。そういう意味ではすごい時代だった、と言えなくもありません。しかし、この手法をこれから安易に使うのはやめましょう。【ノーライダー】とか【ノーダムド】とか、ノー・ニュークス(原子力発電所建設反対運動)みたいなネーミングを何も考えずにでっちあげるのはやめましょう。*4え?理由?単純にアホっぽいから。

・おまけ:By遊戯王wiki

【スタンダード】は手札事故が起こらないようにコストの低いカードを採用したグッドスタッフのこと。

 言いたいことはわからないでもないけれどでもやっぱり何を言っているのかさっぱりだ的なこの倒錯感。手札事故が起こらなければ「標準」って、それは一体どこの誰が言ったんだ。そういうもんなのか?カードゲームって。いや、僕自身、そんな偉そうなこと言えるほどカードゲームを知ってるわけじゃないけれど……なんだかなぁっていう。

*1:この辺個人的な恨み言が多分に混ざってるが。

*2:追記:この辺ちょっと君らを騙しにかかってる気がする。反省。

*3:確かどこかにいたようないなかったような。この辺超適当。

*4:誰もやらんとは思うが。いや、そうとも言えないか。